男性不妊症治療
Male infertility treatment
当院では、男性不妊症診療において専門的に熟練した男性医師によるよりよい男性不妊症診療を行なっています。デリケートな部分であるため、受診しづらいと躊躇してしまう方もいらっしゃると思いますが、まずは気軽にご相談ください。
不妊症とは
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性生活を継続的に行なっているにもかかわらず、妊娠の成立を見ない場合を不妊といいます。
ある一定期間とは1年というのが現在一般的になってきています。
不妊症といいますと、女性が原因だと考えられがちですが、実は、不妊の原因の約半数は、男性側にあるということが分かってきています。
昨今の晩婚化で、6組に1組が不妊治療を受ける時代になってきており、体外受精の件数は、ここ10年でおよそ4倍に増えてきています。
男性不妊症治療の検査
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視診
医師目線で顔色から患部まで目で見て診察します。
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触診
睾丸を実際に触って大きさや硬さを確かめます。また、陰嚢上部を触診することにより精管という精子を運ぶ管に問題がないか男性不妊症の原因となる精索静脈瘤がないかを診ていきます。
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超音波検査
超音波検査では超音波の機械を陰嚢に当て、精巣内に異常がないかを診ます。また、精巣を栄養する血管群を観察し、安静時、おなかに力を入れたときの血管の変化を診ることで精索静脈瘤があるかどうかを判断します。
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精液検査
精子の数や運動率、形態率などを顕微鏡を用いて調べます。
1時間以内で来院できる方:精液カップをお渡しし、家で採精、人肌程度の温度で持って来ていただきます。
1時間以上来院にかかる方:院内採精をしていただきます。
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採血による内分泌検査
採血では、精子形成に関わるホルモン値やテストステロン(男性ホルモン)の値をチェックします。
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採血による染色体検査
無精子症や高度乏精子症の患者様の場合は、染色体異常を認める場合があるため、採血にて染色体検査を行います。
症状と治療方法
男性側から考えられる主な原因
- 精索静脈瘤
- 無精子症
- 性腺機能障害
女性側だけでなく、カップルとして治療していくことが重要であり、不妊症で悩むカップルのお手伝いが出来ればと考えております。
精索静脈瘤の治療
精索静脈瘤
- 症状
- 精索は、精管(精子の通り道)、血管(動脈、静脈)、神経、リンパ管が束になって構成されています。精索に含まれる静脈の弁機能が悪く、通常は逆流しない酸化物を多く含んだ静脈血が逆流することにより、静脈が蛇行、拡張している状態です。静脈血の逆流による、精巣内温度の上昇や低酸素、精巣内酸化物の増加が起こり、これらが造精機能、精子機能に悪影響を及ぼすといわれています。
- 治療
- 内服での抗酸化療法、内服で効果がない場合や程度の強い静脈瘤の場合には手術を勧めます。
精巣静脈瘤の手術について
精巣静脈瘤の根治療法は手術です。
精巣静脈縛って結ぶことにより逆流を防止します。
約50%〜70%の方で術後3ヶ月から半年で精液所見の改善が期待できます。ただし、精液所見が改善しない方についても、術後DNA損傷を受けた精子の数が少なくなることが近年多くの研究で明らかにされております。
当院では顕微鏡下精索静脈瘤手術を行います。
※保険適用可
顕微鏡下精索静脈瘤手術について
鼠径部の皮膚を2~3cmほど皮膚のしわに沿って切開します。
精索と呼ばれる血管(動脈・静脈)、リンパ管、 精管の束を同定し、皮膚切開部より体外に引き出します。 その後、顕微鏡で観察しながら、精索内の静脈だけを選択し、糸で結紮し切断します。この際、動脈とリンパ管は可能な限り温存します。
止血を確認後、皮膚切開部を縫合して手術終了となります。閉創の時に使用する糸は、一定期間後に溶けて体内に吸収される糸を用いますので術後抜糸の必要はありません。
- 麻酔
- 手術時は2種類の麻酔を使用します。
まず静脈内への点滴で鎮静・鎮痛作用のある薬剤を投与します。もう1つは鼠径部の皮膚および精索への注射による局所麻酔を行います。手術中に痛みを感じる場合はその都度麻酔 を追加して手術を行っていき、苦痛のないように最善を尽くします。 - 手術時間
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- 片側:約1時間30分
- 両側:約3時間
- 入院期間
- 入院期間は通常1泊2日を予定しています。喘息・高度肥満など手術に関しリスクのある方は2泊3日となる可能性があります。
- 術後について
- 傷の痛みは個人差がありますが、1週間程度は続く場合が多いです。退院時に鎮痛薬を処方しますので適宜使用してください。皮膚切開部には医療用のボンドを塗布してありますので、手術翌日からシャワーは可能です。入浴は4日目以降可能です。なお、ボンドは自然に剥がれます。術後1週間程度は、飲酒や激しい運動、性行為はお控えください。術後は1~2週間で再診して頂き、創のチェックを含め診察させて頂きます。
無精子症の治療
無精子症
射出した精液の中に精子が0の状態で、少なくとも2回の精液検査で同じ結果の場合に無精子症と診断されます。全男子の1%が無精子症といわれています。無精子症は原因により幾つかのタイプに分けられます。
- ①非閉塞性無精子症
- 精巣内での精子形成が障害されており、精巣内で精子形成が行われていない状態
- ②閉塞性無精子症
- 精巣内での精子形成能は正常であり、精子は作られているが精子の通り道の閉塞によって射出されない状態
- 治療
- 精巣から精子を採取する手術(Micro-TESE)が必要になります。閉塞性の場合はほぼ100%の確率で精子回収が可能、非閉塞性の場合は約30%の精子採取率といわれています。
無精子症の手術について
- 閉塞性無精子症【Conventional TESE/精巣精子採取術】
- 精巣から精巣組織を取り出して、その中から精子を回収する方法です。
精巣で精子がつくられている可能性が高い「閉塞性無精子症」の場合に行います。精子がつくられているかどうかは、精巣の大きさや超音波検査、ホルモン値などから推測でき、閉塞性無精子症の多くの方から精子が見つかっています。 - 非閉塞性無精子症【MD-TESE/顕微鏡下精巣精子採取術】
- 手術用顕微鏡を使って精巣の中にある精細管を採取し、その中から精子を回収する方法です。非閉塞性無精子症の治療法で、原因がわからない特発性造精機能障害やクラインフェルター症候群、がんの化学療法をした無精子症の人などが対象です。Conventional TESEで「精子がない」と言われた人でも、MD-TESEで精細管を丁寧に見ると、30%程度で精子が見つかっています。
- 麻酔
- 点滴から緊張を取る薬剤を使用し、基本的に局所麻酔で行います。手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
- 手術時間
- 精子がすぐにみつかる場合は30分以内の短時間で終わりますが、精子がみつからず両側に対して施行する場合は1時間半程度かかります。
- 入院期間
- 入院期間は通常1泊2日を予定しています。
- 術後について
- 傷の痛みは個人差がありますが、1週間程度は続く場合が多いです。退院時に鎮痛薬を処方しますので適宜使用してください。
キズは溶ける糸で縫っておりますので、抜糸は必要ありません。術後1週間程度は、飲酒や激しい運動、性行為はお控えください。術後は1~2週間で再診して頂き、キズのチェックを含めて手術を行った陰嚢の診察をさせて頂きます。また、採血で男性ホ ルモン(テストステロン)の低下がないかを検査させて頂きます。
性腺機能低下症の治療
性腺機能低下症
脳からのホルモンが正常に分泌されないことによって精子形成能が障害されている状態
- 治療
- 薬物療法が可能な場合があります。
男性不妊症外来診療の流れ
- ①電話予約をする Tel:088-882-7161
- ②外来受診にて、まず問診票の記入
- ③ご記入いただいた問診票に基づき、症状の確認及び検査の説明を行います
- ④視診・触診・超音波(エコー)検査
精巣内部や前立腺、精のう、精管、精索静脈瘤の診断を行います - ⑤採血にてホルモン値の確認、精液検査
- ⑥次回、結果説明・カウンセリング
結果と治療方針の説明を行います
※手術の場合は日帰り、もしくは1泊入院となります。
※診療報酬が改定され、2022年4月より男性不妊手術は保険適用となります。
男性不妊症治療を考えている方へ
当院では専門的な知識と経験を持つ医師や看護師が、あなたの症状や不安を真剣に受け止め、正しい診断と治療を提供します。 初めての受診であっても、プライバシーの保護には細心の注意を払われていますのでご安心ください。
また、些細な症状であっても、がんなどの深刻な疾患の場合があります。
早期発見により完治の可能性や生存率も大きく変わってきますのでご不明点やご不安な点がございましたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。